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タックス・アムネスティ:選択か、義務か?

日付 : 2016年11月17日

2016年11号法(“タックス・アムネスティ法”)およびその実施規定は2016年7月1日から施行された。施行期間は暫時(2017年3月まで)で、本ファシリティーを利用するか否か、納税者は適正かつ慎重な決定を迫られている。

上述の法律に従い、タックス・アムネスティとは、資産を申告し、賠償金を払うことによって、税金、行政上の処罰および税金に関する刑事上の処罰を免除することを指す。タックス・アムネスティを利用できるのは、納税番号を既に有する個人または法人に限られる。言い換えれば、利用者は納税者として既に登録されていなければならない。

とはいえ、全ての納税者が税金絡みの罪を赦される手段としてこの恩典を利用できるわけではない。以下に該当する者は、タックス・アムネスティを受けることができない:

税務に係る刑事犯罪に関連して

  1. 税務捜査を受けていて、検察庁によって捜査書類が完備したと声明された者;
  2. 係争中の者;
  3. 刑事判決に服している者。

タックス・アムネスティ申請の手続き

タックス・アムネスティの恩典を受けるには、少なくない出費と行政上の手続きが必要である。即ち、タックス・アムネスティの手続きは、掌を返すように簡単なものではない。

ここに言う手続きとは、以下のとおりである:

提出は納税者が直接行ってもいいし、または代理人が提出しても良い。申告状の書式は財務大臣令NO.118/PMK.03/2016の添付Aを参照。

賠償金の料率は、資産申告状の提出、または資産表明/開示を行った時期、開示された資産がある場所、または納税者の事業売上げ規模によって異なる。

1. 税務所または特定の場所に対し、未だ報告されていない資産を申告するための資産申告状を提出すること。
   提出は納税者が直接行ってもいいし、または代理人が提出しても良い。申告状の書式は財務大臣令NO.118/PMK.03/2016 の添付Aを参照。
2. 賠償金の支払い
   賠償金の料率は、資産申告状の提出、または資産表明/開示を行った時期、開示された資産がある場所、または納税者の事業売上げ規模によって異なる。
3. 全ての滞納税を完済すること
   滞納税とは、未払いの基本税額と支払うべき追加税を指し、還付されるべきでない税金も含む。納税者は、滞納分の税額を知るために税務署へ確認を取る必要がある。
4.  還付されるべきでない税金を含め、未納税または納税不足額を完済すること。本項は、初期証拠の税務調査、および/または税務捜査の過程にある納税者に対して適用されるものである。
5. 最終税務年度の年次所得税申告書を提出すること。
   本規定は、年次所得税申告の提出義務を既に負っている納税者に限って適用される。2016年に初めて納税番号を取得した納税者が、2016年にタックス・アムネスティを申請する場合は、提出すべき年次所得税申告書はまだ無いことになる。

6.    以下の申請を撤回すること:
    a.    税の還付金申請;
    b.    税額確定書または税金支払請求書に記載された処罰に対する軽減/撤回の申請;
    c.    税額確定書の税額が不当だとして提出した税額軽減または撤回の申請;
    d.    異議申立;
    e.    税額確定書および決定状に対する是正の申請;
    f.     再審上訴;
    g.    提訴;および/または
    h.    裁判見直し。

7.    以下の表明書を添付すること:
    a.  賠償金の支払証明書;
    b.  滞納税の完済証明書(もしあれば);
    c.  税金の完納証明書;
    d.  資産明細書、および開示した資産の所有に係わる情報;
    e.  債務リスト、および、それらを証明する関係書類;
    f.  最終年度の年次所得税申告書のコピー;
    g.  上記6項に述べた申請書の撤回表明書;
    h.  国内資産を開示した場合、タックス・アムネスティ証明書が発行されてから3年を経過するまでは、資産を国外へ移転しない旨の表明書;
    i.  海外資産を国内へ移転する場合、移転してから最低3年間は、資産を国内投資に向ける旨の表明書;
    j.  年商48億ルピア以下の納税者で、2015年度の年次申告書の提出義務を未だ負っていない場合は年商に関する表明書;

    k.  納税者が直接、申告状を届けることができない場合、または納税者の最高指導者に支障がある場合は、代理人委任状。
 

賠償金の料率

 

種類

料率

申告状の提出時期

I

国内資産申告、または海外資産の本国送還

2%

2016年7月1日-9月30日

 

 

3%

2016年10月1日-12月31日

 

 

5%

2017年1月1日-3月31日

II

海外資産の申告

4%

2016年7月1日-9月30日

 

 

6%

2016年10月1日-12月31日

 

 

10%

2017年1月1日-3月31日

III

中小零細企業納税者

 

 

 

  1. 資産100億ルピア以下

0,5%

2016年7月1日-2017年3月31日

 

  1. 資産100億ルピア超

2%

 

タックス・アムネスティの便益

タックス・アムネスティの便益は、実際に支払うべき税金額より少ない賠償金を払えばいいというだけでなく、納税者は以下の便益を受けることができる、即ち:

    
    1.    税額確定書が未だ発行されていない税金債務の消去;
    2.    行政上の処罰(金利または罰金)の消去;
    3.    税務調査、初期証拠調査、または税務捜査が行われない;
    4.    現在進行中の税務調査、初期証拠調査、または税務捜査がある場合、それらが中止される;
    5.    タックス・アムネスティに関するデータは守秘義務の保証があり、如何なる刑事行為に関する捜査または査察の基本事由とされることがない;かつ
    6.    資産の名義変更に伴う所得税の免除(土地、建物、株式に限る)。

 

選択か、義務か?


タックス・アムネスティは、明らかに、納税者にとって義務ではない。例え高レベルの汚職を犯した納税者であっても、この点は同じであり、納税者はタックス・アムネスティを申請しないという選択をすることができる。とはいえ、タックス・アムネスティを申請するならば、特にこれまで現行税法規に沿った義務を果たしていない納税者にとっては、以後、正しく納税義務を果たすための開始点とすることができる。
納税者はまた、タックス・アムネスティを申請しなかった場合のリスクも考慮する必要がある。特にタックス・アムネスティ法第18条(2)項bには以下のように説明してある、即ち:
1.    税務総局が1985年1月1日から2015年12月31日までの間に取得された納税者の資産について情報を取得し;
2.    当該資産が未だ所得税年次申告書に報告されておらず;かつ
3.    納税者がタックス・アムネスティプログラムに参加していない場合には:、

     a.   当該資産は、当該資産が発見された時に取得された所得と見なし;かつ
     b.   納税者には現行税法の規定に従った処罰が課される。
即ち、納税者がタックス・アムネスティを申請しなかった場合、徴税の失効期限は過去5年間ではなく、過去30年間に延長されるということである。過去30年間に遡って(1985年1月1日以降)徴税するという規定の例外は、以下の場合に限られる:
       a.  最終税務年度における所得が被課税所得を下回る農民、漁民、定年退職者、海外労働者、または未だ分割されていない相続税課税対象者;
       b.  以下の理由により、海外の課税対象者に属するインドネシア国籍者:
              1.  12ヶ月間に183日以下しかインドネシアに滞在しておらず;かつ
              2.  インドネシアからの所得を有しない者。

過去30年間に遡って徴税するという本規定は、最新のタックス・アムネスティ法が適用されてから3年間有効とされる。以上の状況に照らし、3年間というのは、果たして短い期間と見なすことができるだろうか。

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